今月から日本とオーストラリアで現在教育にたずさわっておられる、又は教育現場を経験された方々に、日豪交代でエッセイを書いていただきます。教育になんらかの関係があれば、ということでテーマもスタイルも自由。ただし抽象的な教育論ではなく、経験を通して得られた内容のエッセイをお願いしました。いろいろな点で対照的なことが多い両国、さて、教育面ではどうでしょうか。どうぞご期待ください。
日豪教育事情 (1) 日本から 坂詰貴司 これから奇数月に日本の教育の現状についてできるだけわかりやすくご報告したいと思います。私は現在中学校・高等学校の教員ですので、その視点から中心に述べさせていただきます。 今回は初回ということで、私と勤務校の簡単な紹介を致します。 私は先ほども述べましたが中学校・高等学校の教員で、数学の授業をかれこれ10年くらい担当しています。専門はビクトリア州における中等数学教育です。大学2年生の夏休みに初めての海外旅行で豪州を訪れました。そのとき、Perth、Canberra、Melbourne、Sydneyと廻りMelbourneが一番気に入りました。以後ほぼ毎年足を運んでいます。最近では2002年の7・8月に2週間ほど滞在しました。今までに多くの中等学校や大学を訪問して、授業を見学したり、ときには参加したり致しました。そうしていくうちに多くの人と知り合い、友人が出来て、現在では研究というよりも、その友人に会うために訪問している状況です。訪れる中には、かって勤務校で授業を担当した卒業生もいるようになりました。彼は現在RMITに通っています。次に勤務校の紹介をしたいと思います。 地理的な場所は東京都港区に位置し、近所には浄土宗大本山の増上寺や東京タワーがあります。この学校は1906年に旧制中学として発足しましたが、その前身は浄土宗の僧侶を養成する東京地区の教育機関でした。そのために増上寺の昔の境内に位置しています。 私立の男子校で、中学校と高等学校が併設されて、6ヵ年一貫教育を実施しています。一学年は300名弱で全校生徒は約1700名です。 卒業後はほぼ全員大学に進学して、現在まで二万人近い卒業生を輩出しています。 実は私もその一人です。 教員と生徒の関係はとてもよくて、休み時間や放課後になると職員室でたくさんの生徒を見ることが出来ます。詳しくはホームページをご覧ください。 http://www.shiba.ac.jp 今年度私は高校3年生の担任として36名のクラスを担当しています。 このクラスは理科系志望の生徒が集まっており、特に機械系の志望が多いのが特徴です。 現在日本では理科系離れが進んでいると言われていますが、ここでは約7割が理科系志望です。 1月になると大学入試センター試験があり、本格的な受験の季節が始まります。 2月には私立大学の入試、下旬には国公立大学の前期日程の2次試験があります。 3月には卒業式がありますが、その時点では私立大学の結果のみが発表されています。 その後前期日程の発表があり、中旬には後期日程の2次試験があります。下旬にはその発表があり、ようやく進路が決まります。次回からはもう少し身近な話題を報告できればと考えています。 どうぞよろしくお願いします。
|