ワイン入門 木村靖のワイン講座(3)
知っておきたい豪州ワインのあれこれ
オーストラリアの銘醸地
日本の21倍の面積がある広大なオーストラリアでも、ワイン産地は南緯32度から43度に限られている。約35のワイン産地の内、Margaret River を含む西オーストラリア州5地域を除くと、産地のほとんどが温帯気候に属したオーストラリアの南東部に集中している。生産量では歴史と伝統を誇る Barossa Valley がある南オーストラリア州が第一位、産地とワイナリーの数では、ビクトリア州がトップとなっている。
良質なワインは、収穫前から期間中にかけて適量な降雨のある寒冷地や、やや乾燥した内陸地でも標高の高い所で育つ良質な葡萄から造られている。
オーストラリアの vintage (収穫の意味)は、北半球よりも半年早く始まる。ワインの本格的産地の中でも最北端に位置し、シドニーのワイン供給源として歴史が深い Hunter Valley は1月下旬、ビクトリア州の最寒冷地の一つ Yarra Valley と最南端のタスマニア州では3月中旬から収穫が始まり、葡萄の収穫前線は5月上旬まで移動する。
オーストラリアで栽培されているワイン葡萄は、リースリング種やシラーズ種などヨーロッパから移植された品種である。ヨーロッパの各銘醸造地の環境に類似した産地では、葡萄が新しい環境に適応し、確実に根付き始めている。
木村靖
*筆者の木村靖さんは、オーストラリアの大学でブドウ栽培学とワイン醸造学を学ばれました。
1993年より「ユーカリ」に「木村靖のワイン講座」を執筆していただき、この記事はそれを再掲載しています。
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