ワイン入門(4) 木村靖のワイン講座
知っておきたい豪州ワインのあれこれ
オーストラリアのワインスタイル その1
オーストラリアワインの起源はヨーロッパのワインである。オーストラリアのワイン産業は、150年以上前から英国にワインを輸出することで発展したが、それ以前にも、フランスやポルトガルなどからワインを輸入していた英国人好みの酒精強化ワイン(アルコールを添加した甘口ワイン)を主に生産していた。
シラーズ種は、フランスのローヌ地方原産。温暖な気候を好み収穫量も高いこの品種は、酒精強化ワインの原料にも利用できたことから、オーストラリアの各産地で、伝統的に栽培されてきた代表的な赤ワインである。
1850年代からドイツ系移民を数多く受け入れたアデレード近辺では、母国の品種であるリースリング種(Riesling) の移植に成功した。辛口から甘口まで幅広いスタイルが造られるこの品種は、オーストラリアの伝統的な白ワインとなった。
1960年以降、本格的な栽培が始まったシャルドネ種(Chardonnay) とピノ・ノアール種( Pinot Noir) は、高級ワイン造りの伝統を誇るフランスのバーガンディー地方(Burgundey 日本語ではブルゴーニュ)が原産。カベルネ・ソーヴィニョン種(Cabernet Sauvignon)、ソーヴィニョン・ブラン種(Sauvignon Blanc) は、ボルドー地方(Bordeaux) が原産。醸造法も各銘醸地の製法に影響されているが、一般にオーストラリアのワインはフランスのものと比べ、新鮮で果実の香味が十分に現れているのが特徴である。
木村靖
*筆者の木村靖さんは、オーストラリアの大学でブドウ栽培学とワイン醸造学を学ばれました。
1993年より「ユーカリ」に「木村靖のワイン講座」を執筆していただき、この記事はそれを再掲載しています。
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