ワイン入門(6) 木村靖のワイン講座
知っておきたい豪州ワインのあれこれ
オーストラリアのワインスタイル その3
スパークリングワイン
一般にシャンパンと呼ばれるこのワインは、フランスのシャンパーニュ地方が原産である。
オーストラリアのスパークリングワインの歴史は、フランスの醸造家がビクトリア州ヤラ・ヴァレーのベースワイン(原酒)から、シャンパンにならった製法でワインを醸造した1881年まで遡ることができるが、実際にスパークリングワインの高級化と生産量が増え始めたのは1970年代からである。
ワインの品質に安定性を見せ始めた80年代初め、シャンパーニュ地方以外で造られたワインには "CHAMPAGNE"をラベルに表示してはいけない規定がフランス政府より発せられ、本格的なシャンパン製法(第二次醗酵を瓶の中で行い炭酸ガスを発生させる。)で造られる高級ワインには、シャンパンの代わりにメソード・シャンパン(Methode Champenoise) の表示が義務付けられた。
収穫年号や"Cuvee" (クーヴェ)と表示されているものに良質ワインが多いとされ、その原料となる伝統的な品種は、シャルドネ種とピノ・ノアール種であり、中にはピノ・ムニエール種もブレンドされる。他の品種を用いたもの、Methode Champenoise の表示のないものは価格が安く、ソフトでやや甘口タイプが多い。"BRUT" は辛口、"N.V"(NON VINTAGE) はノン・ヴィンテージの略(その年以外のワインが5%以上ブレンドされている。)を意味する。
ビクトリア州のヤラ・ヴァレー、マセドン、グランピアン、南オーストラリア州ではアデレード・ヒルズ、タスマニア州、そして隣国のニュージーランドなど、寒冷な栽培地から良質なスパークリングワインが醸造されている。
木村靖
*筆者の木村靖さんは、オーストラリアの大学でブドウ栽培学とワイン醸造学を学ばれました。
1993年より「ユーカリ」に「木村靖のワイン講座」を執筆していただき、この記事はそれを再掲載しています。
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