日豪教育事情(7)
日本から
坂詰貴司
日本ではまもなく夏休みを迎えます。豪州や欧米諸国と違い、同じ学年の間に1ヶ月以上の長期休暇があるのは珍しいと思います。個人的な意見としては、これから留学する生徒が増えることが予想できますので、9月入学を実施した方がよいように思います。
さて今回は以前お約束しました日本における教員を取り巻く話題について述べたいと思います。
勤務校ではちょうど5月から6月にかけて教育実習が行われました。
全員が卒業生で私が在学中に関わった学生も数多くいました。
実習生はこの3週間で貴重な体験をしたことと思います。
現在日本では教育学部を卒業しなくても、大学で教職の単位を取得すれば教員免許の取得ができます。しかしながら大学によって取得できる科目や種類などが異なるために、入学以前に調べておく必要があります。以前は、とりあえず取っておこう、という学生が今よりも多かったような気がしますが、私が学生の頃とくらべて、取得単位数が大幅に増えたために免許を取ることは難しくなりました。
そして採用試験になるわけですが、方法は公立と私立では異なります。
公立では都道府県単位で採用試験を実施します。私立では都道府県単位の中高協会が統一試験を実施したり、それぞれの学校が個別に採用試験を行います。試験はまず初めに筆記があり、その後面接や実技などがあります。好景気のときは教員志望の学生が減りますので結構なり易く、質も高い傾向にあります。しかしながら最近のように不景気になると安定した職業ということで人気が出て狭き門になります。ただ本当に希望している学生が合格しない場合も多くて、質には疑問視する声も聞こえます。
ここ数年は子供の数が少ない状況、いわゆる少子化のために児童数が減少し、教員の数も抑えられてきました。ところが今後は全く違う状況が予想できます。
それは教員が不足するという事態です。
理由は次の通りです。
日本の教員の年齢層は極端に偏っています。
比較的多い層はあと数年で定年を迎える世代です。その一方で30歳代がとても少ない状況です。少ない理由は採用数が少なかったことと、中途退職者が多かったことです。ですから多くの学校では教員の平均年齢が上昇しつづけています。
そのため今後は採用数を増やさなければならないのです。
たださきほど述べたように中間層が少ないために、年齢を中心に見ると空洞化が進んでいます。そこである教育委員会では、その層をねらった採用試験を実施すると発表して、周辺の教育委員会に波紋を呼んでいます。これから日本でも、本格的に優秀な教員の獲得競争が始まるかもしれません。
教員の話題はまだありますので次回もこの続きを述べてみたいと思います。
今後取り上げてほしい話題、ご意見、ご希望などがございましたら以下の電子メールまでお願いします。
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