ワイン入門(7) 木村靖のワイン講座
知っておきたい豪州ワインのあれこれ
オーストラリアの白ワイン品種 その1
リースリング RIESLING
ドイツとフランス北東部を原産とするリースリングは、オーストラリアでも良質ワイン葡萄の一つとして数えられ、伝統のある独特なスタイルのワインが造られている。
最近、世界でも人気があり、この国では1970年代から本格的な栽培が始まったシャルドネ種の陰に隠れるリースリングであるが、辛口から甘口まで幅広いスタイルに造られ、ブレンド用にも利用されるために、生産量が高い。リースリングがもつ本来の果実味が豊かであることから、キリッとした酸味が新鮮味のあるワインに仕立て上げられている。オーク樽で熟成していないためにワインが造られて、早ければ6ヶ月以内に市場に出る。
一般的なリースリングは、レモンなど柑橘系やパッションフルーツなど爽やかでフルーティーな香味をもち、瓶熟成が進むと蜂蜜や砂糖を焦がしたようなブーケが現れる特徴がある。新鮮な魚貝類やチキン料理、マイルドなチーズと相性がよい。生産量も多く生産コストが低いため、シャルドネなど他の白品種と比べ価格が安い(10ドル前後で良質なものがある。)のが魅力である。
リースリングの生産量のトップは、ドイツ人が古くから栽培する南オーストラリア州。寒冷な栽培地を好む葡萄であるため、同州クレアーヴァレー(CLARE VALLEY)、エデン・ヴァレー (EDEN VALLEY) に良質なものが多い。近年、ヴィクトリア州のグランピアンズ地区(GRAMPIANS) 、西オーストラリア州ローワー・グレート・サザン地区(LOWER GREAT SOUTHERN)、タスマニア州でも良質なワインが造られている。
良質なリースリングは、造られてから1~2年が飲み頃となるが、通常4~6年の瓶熟成が可能であり、保存状態や収穫年のよいもの、高価なものは7~10年以上熟成する。また、リースリングは貴腐ワイン(甘口)の原料にも使用される。
木村靖
*筆者の木村靖さんは、オーストラリアの大学でブドウ栽培学とワイン醸造学を学ばれました。
1993年より「ユーカリ」に「木村靖のワイン講座」を執筆していただき、この記事はそれを再掲載しています。
*この記事の無断転載・借用を禁じます。