MELBOURNE Street by Street (7) |
Collins Street ― その 7 ― |
ケン・オハラ |
Collins Street には歴史的な建物やいわくのある建物が多いので、それらの過去を返り見ながら通ると時間がかかる。今回は King Street からSpencer Street にかけての最後のブロックについて書こう。 通常、不動産価格がくずれ始める時、一番先に打撃を受けるのはシティのはずれである。そして回復に時間がかかるのも同じくシティのはずれである。この最後のブロックもその例にもれない。 ![]() もし仮に夢破れた挫折のリストを作るとしたら、このブロックの南にあたる大駐車場からスタートすることになるだろう。Mainline Corporation は Collins Street の両端の大々的な開発の青写真を持っていた。1973年、計画実行に$10,000,000 を投資することにした。 Mainline はトップエンドの Hotel Sofitel, Collins Placeの開発に手をつけたが、早くも翌年の1974年に破綻してしまった。他の業者が事業を引き継ぎ、開発を完成させたが、Mainlineの青写真は夢に終わってしまったのである。 さて、大駐車場に話を戻そう。ここを開発すべく、次に現れたのがthe Grollo Brothers だった。1981年に$5,000,000で入手。40階の高層ビルを建てる計画だったが着手することなく1985年に$27,250,000で売却し大きな利益をあげた。購入したのは the State Superannuation Board(ヴィクトリア州の公務員年金基金管理)。1988年に35階建てのビルディング建設の青写真を描いたが、今だに据え置かれたままだ。この一画は、夢を抱いた富豪が現れ、再びチャレンジしてくるであろう次の不動産ブームが訪れるまで、静かに待っていることであろう。 ![]() ![]() |
Copyright: Ken O'hara |
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