ワイン入門(8) 木村靖のワイン講座
知っておきたい豪州ワインのあれこれ
オーストラリアの白ワイン品種 その2
セミヨンとソーヴィニョン・ブラン
リースリング
Semillon,Sauvignon Blanc
これらの品種はフランスのボルドーが原産で、香味の特徴と醸造法はよく似ている。オーク樽で短期間熟成するものと、しない辛口スタイルがある。オーストラリアでは、樽熟成したセミヨンは、Wood Matured, ソーヴィニョン・ブランは、Fume Blanc とラベルに表示してある。
樽熟成はワインの香味に深さを与え、瓶熟成の期間を長くする。樽を使用しない若いセミヨンは、かすかな青い草の香味を現し、比較的味がシンプルであるが、瓶熟成と共に蜂蜜のようなブーケなどが現れ、香味に深さを増していくのが特徴である。
オーストラリアのセミヨン種の故郷は、同品種の栽培歴150年を誇るNSW州のHunter Valley である。本家ボルドーと異なるユニークなワインには、瓶熟成10~20年の可能性をもつ良質なものも含まれる。同州の Mudgee、西オーストラリア州の Margaret River、南オーストラリア州の Barossa Valley も代表的な産地である。
一方、この国での栽培歴が20年余と浅く、生産量も少ないソーヴィニョン・ブラン種は、ハーブやアスパラガス、スパイスの香りを持ち、長期間熟成の可能性をもつものもあるが、一般に新鮮味のある若い期間に飲むスタイルである。同種は、セミヨン種よりもやや涼しい栽培地を好み、西オーストラリア州 Margaret River、南オーストラリア州 Clare Vally、Southern Vale、ビクトリア州 Yarra Valley で良質なワインが造られている。
両品種とも、世界的に人気のあるシャルドネの陰に隠れている存在のせいか、一般にシャルドネよりも価格が安い。夏の暑い日に1~2年で飲み頃になるワインをよく冷やし、日本食と合わせたい。両種ワインをブレンドすることもあり、良質な貴腐ワインはセミヨン種から造られる。
木村靖
*筆者の木村靖さんは、オーストラリアの大学でブドウ栽培学とワイン醸造学を学ばれました。
1993年より「ユーカリ」に「木村靖のワイン講座」を執筆していただき、この記事はそれを再掲載しています。
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