ワイン入門(14) 木村靖のワイン講座
ワイン講座に登場する用語と言葉 その2
(1)シャンペン製法(Methode Champenoise)
オーストラリアのスパークリングワインのほとんどは、この製法で造られる。
酵母と砂糖が加えられた白ワインを瓶詰めし、ボトル内で二次発酵をさせると、自然の炭酸ガスとアルコールができる。本格的なシャンペン製法は手作業が多くなり、高価なものとなる。
(2)酒精強化(fortified)
晩摘みの葡萄を原料とするワインの醗酵中に、ワイン用ブランデーをワインに添加して醗酵を止め、果汁の甘味が残ったアルコールの強いワインに仕上げること。この製法は古くからポルトガルやスペインで使われ、ポートワインやシェリーはその代表。
(3)晩摘み (late picked)
酒精強化ワインや甘口ワインは、葡萄の果実を木に長く残し、よく熟した甘い葡萄を原料にして造られる。貴腐ワインは、この過熟期間に「ボトリティス菌」が付着した葡萄から造られたもの。
(4)熟成する (mature/develop)
ワインは発酵が終わると熟成を始め、貯蔵中はオーク樽やステンレス・スティールのタンク、瓶詰め後は、ボトルの中で熟成を続ける。瓶熟成(賞味期間)は、ワインのスタイルによって異なるが、早飲みスタイルで約1年、高級赤ワインは20年以上熟成するワインもある。
(5)酸化する(oxidize)
切ったリンゴをしばらく置くと、その表面が茶色に変化するのが酸化であるように、酸化の進んだ葡萄から造られるワインは、色合いに茶色をおび、果実の香味が欠ける。醸造過程では、炭酸ガスなどを使用してワインの酸化を防ぐが、瓶詰めされたワインは、ワインの主成分である酸、アルコール、タンニンなどが酸化防止の役割を果たす。しかし、ワインの瓶熟成には極少量の酸素が必要であリ、コルク栓の使用はこのためである。開栓されたワインが空気に触れると急激に酸化が進み、ワインの鮮度や香味が劣化していく。
(6)酸味(acidity)
葡萄果実に含まれるワインの重要な主成分であり、ワインの香味に新鮮さ、活気、余韻を与え、酸化防止の役割もする。ワインの酸味の度合いが強いとすっぱさ、弱いと水っぽさを感じる。
(7)アルコール(alcohol)
ワインの味の骨組みを支える主成分。酵母の作用で果汁にある糖分がアルコールに変わり、テーブルワイン、スパークリングワインのアルコール度は8-14%。中でも長期瓶熟成が可能なワインはアルコール度数がやや高い。酒精強化ワインは、20%前後の高いアルコールが酸化の防止をし、ワインを開栓しても長期の保存ができる。
(8)甘味(sweetness)
果汁の糖分をワインの中に残したデザートワインに多く含まれる。テーブルワインは発酵を完全に終わらせると辛口ワインに仕上がり、甘味をほとんど感じない。甘口テーブルワインは、ワイン発酵終了の直前に酵母の作用を止めて糖分を残す。果実の糖分が上がりにくい寒い地方には、葡萄の濃縮果汁を添加してワインを甘くする製法もある。
(9)渋み(astringency)
タンニン(tannin)ともいわれ、赤ワインの原料となる黒葡萄の果皮と種に多く含まれる。赤ワインにとって重要な成分である渋みは、ワインの酸化を防ぎ、発酵の開始前に果皮と種を取り除かれる渋みのない白ワインに比べ、長期の瓶熟成が可能。
(10)苦味 (bitterness)
葡萄の果皮や果梗に含まれ、ワインを飲んだ後に舌の奥から喉で感じるのが苦味。白ワインの場合、渋味の替りに苦味がでることがあるが、苦味の強すぎるワインは、品質的に良くないとされる。代わりに
木村靖
*筆者の木村靖さんは、オーストラリアの大学でブドウ栽培学とワイン醸造学を学ばれました。
1993年より「ユーカリ」に「木村靖のワイン講座」を執筆していただき、この記事はそれを再掲載しています。
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