この国の成り立ち (15)
マッコーリー総督(1)
前田晶子
ラム革命後の植民地を立て直すために任命された総督はマッコーリーでした。5代目総督マッコーリーは11年間(1810~1821)勤めました。ラム軍が去ったとはいえ、ニューサウスウエールズ植民地はたくさんの問題を抱えていました。
15歳から陸軍に入り、カナダ、アメリカ(独立戦争)、セイロン、インド、エジプトと経験を積んだマッコーリーは47歳になっていました。夫人のエリザベス・カンベルと彼の直属部隊を伴って、イギリスを出航しました。7ヶ月余りの船旅の間、マッコーリーはイギリス政府の意向と彼に下された命令を熟考しながら、これまでの植民地の資料を熱心に読みました。ニューサウスウエールズに降り立った彼の頭の中には、構想が出来上がっていました。
初代総督フィリップの後、地に落ちていた総督の権威をとり戻すことは、イギリス政府がまず第一にマッコーリーに求めていたことです。幸い忠実な専属部隊を連れてきた彼にはこれは容易なことでした。増える人口に似合った食料を確保するため、耕作地、牧場地を開拓する、アボリジニーの扱いは保護と同化が必要、町として設備を整え、人々が生活できるよう仕事を増やす、囚人の未来に希望をもたせる、乱れた社会を正すため、貨幣制度を整える一方、宗教心をもたせる・・・と彼の計画は広範囲にわたっていました。
マッコーリーは総督の座に就くや否や、精力的に働き続けました。彼のいる間に植民地は大いに発展しました。200以上の建物が建てられ、橋、道路は立派になり、銀行、学校、図書館、教会が作られました。ブルーマウンテンを超える道が作られ、新しい牧草地が開拓されました。新しい町も作られていきました。ひんぱんに植民地の中を見回りしていたマッコーリーは、行く先々で土地や町、川の名前に彼自身や家族の名前をつけていきました。
・主な参考図書
Dreamtime
To Nation by Lawrence Eshuys Guest (
Macmillan Australia)
1822-1850 Our Explorers school
project material (Child & Henry)
A Country Grows Up by J.J.
Grady (Cassell Australia)
その他の参考資料は連載の最後にまとめて表示します。
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