MELBOURNE Street by Street (15) Little Bourke Street ― その 2 ― ケン・オハラ さてLittle Bourke Street をそぞろ歩いてチャイナタウンの終わりに来た。このあたりには劇場がある。またここには3つの歴史的な建物がある。Little
Bourke Street とExhibition Street の角にある Her Majesty's Theatre。そのちょっと東にある
Gordon Place。 Little Bourke Street と Spring Street の角にある The
Princess Theatre である。 Gordon Place
は1884年の建設で3つの中では最も古い。裕福な劇場プロデューサーの
George Coppin
がロンドンのチェルシーにある建物に似せて建築したものである。1887年に当時のオーストラリア人に敬われていたイギリスの将軍
Charles Gordon にちなんで Gordon House と命名された。 Gordon House のオーナーは、株式市場に名が出ているなかでも、最も奇妙な会社 Gordon House Ltd.である。誰でもその株を買うことができるが、老朽化したホームレスの避難所が資本という、おそらく世界でも珍しい会社であった。 Gordon House
の中庭にはパルムの木があって、誰も手を入れないので伸び放題になっていた。25年前にやっと改造の手が入り、商店とオフィスに生まれ変わった。パルムの木はガラスの屋根の下にそのまま保存され、 Gordon House の呼び物の一つとなったが、ビジネスとして成功したといえなかった。 10年ほど前、 Gordon House はまたまた再生した。今回は60のユニットに衣替えした。投資家がそれぞれ個別にユニットを購入、オーナーとなり、そのままホテルとして運営。ホテル運営の純益はユニットのオーナーに個別に支払われる、というシステムである。これが経済的に成功をし、その後このシステムがビルの運営に取り入れられるようになった。 ここ10年ほどの間に、メルボルン市中では1ダースほどのレジデンシャル・ユニットが建設されたが、ほとんどが同様のシステムをとっている。ユニットのオーナーはそれぞれ違うが、みな、ユニットをホテルオペレーターに貸し、ホテルの純益を受けるという形である。 Princess Theatre は Little Bourke Street のすぐ先にある。1886年にオープンした Her Majesty's Theatre のすぐ後に続いてオープンした。近年、ディベロッパーの David Marriner が改造し、数年前、the Phantom of the Opera (オペラ座の怪人)をかけて大成功した。だが、ケン・オハラは芝居よりも劇場の建物の上部空間に興味をもっている。 メルボルンに限らずオーストラリアでは、ビルの高さに関する規制がある。それは plot ratio といわれるもので、ビルの床面積に関わるものである。 Princess Theatre を補修改造した David Marriner
は387~403 Bourke Street の Bunnings
のオーナーでもある。メルボルン市当局は
Princess Theatre 補修改造の報酬の一部として、20年以内に Bunnings
の用地に建設される建物は条例よりも高いビルが建てられる、という特例を与えた。 |