ドリームタイム(17)
アボリジニーの知られざる能力 Valeria Nemes 訳 前田晶子 たくさんのアボリジニー達が家族や部族から離されて、白人社会の中で育ちました。白人はアボリジニー達が長い間伝えてきた知識や経験について無知でしたので、彼らの持っている能力を全く知らないでいました。アボリジニー達も使う機会がないままでした。しかし、白人といっしょに働いていたアボリジニー労働者が、何かの機会に彼ら独特の能力を現して、それによって仲間や雇い主が恩恵をうけることがありました。 彼らは追跡者として有能で、逃げ出した囚人、行方不明になった探検者を捜す時に役立ちました。地面に付けられた足跡を読み取ることができ、視力もすばらく良かったからです。食用になる木苺類、根っこ、木の実をよく知っているので、探検隊の案内役にもなりました。食べ物が尽きた時に大いに役立ちました。又水のあり場所を探すことにも長けていました。さらに案内人として重要な、元来た道を戻って出発点に帰る能力にも優れていました。白人や兵隊は、とてつもなく長い距離とはてしなく続く単調な景色に惑わされて簡単に迷ってしまうからです。カウボーイ(オーストラリア英語ではstockman)としても使われました。馬は全く知らなかった彼らでしたが、動物に対する辛抱強い態度と自然観察力の鋭さ、敏捷さによってアボリジニーは、すぐに優秀なカウボーイになりました。町から何百マイルも離れた所に住む白人入植者、西洋医学を学んだ医者は、アボリジニーに倣って彼らが病気や怪我の時に使う薬草を使いました。天気を予測する力も白人よりも優れていました。田舎に住む者には大事なことでした。 次に挙げるお話は、雨を降らせることができる人のお話です。普通は代々父親から息子へ伝わっていく能力です。 この記事の無断転載、借用は著作権法により禁じられています。 (私的な学習、リサーチ、評論、書評のための利用は例外とされています。)
|