Yukari Shuppan
オーストラリア文化一般情報

2002年~2008年にユーカリのウェブサイトに掲載された記事を項目別に収録。
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ワイン入門23 木村靖のワイン講座

シャンパンとスパークリング (2) 

 本格的なシャンパン製法とは何か、簡単に説明しましょう。まず、ワインの原料となる葡萄は、基本的にシャルドネ種、ピノ・ノアール種、ピノ・ムニエー種です。

 葡萄は通常のテーブル・ワインの原料となるものよりも酸味が強く、果実がやや未熟な状態で摘み取られます。葡萄は房ごと圧搾され、絞り出された果汁に酵母を加え、スパークリング・ワインの基となるベース・ワインが造られます。この時の発酵作用(一次発酵)でも、ワインの中に炭酸ガスができますが、そのほとんどは空気中に逃げてしまいます。

 ベースワインは造られてから約6ヵ月後に、酵母と果糖が加えられ瓶詰めされます。主に糖分を栄養とする酵母は、瓶の中で発酵作用(二次発酵)を始め、炭酸ガスを発生します。この炭酸ガスがスパークリング・ワインの泡となります。発酵を終えたワインは、酵母が分解してできた澱と共に2年間の瓶熟成をします。熟成を終えたワインは、瓶の中の澱を取り除き、ワインの味を調整するために少量の果糖を加えます。最後は、炭酸ガスの圧力であふれでたワインを同じワインで満たし、圧力でコルクが抜けないように針金を巻きつけて、瓶にラベルが貼られます。

 このようにシャンパン製法で造られた本格派のワインは、販売されるまでに3年近くの年月がかかり、これが手造りにもなると、ワインの価格がさらに高くなります。本場シャンパンは、甘口や辛口、フルーティなものや味が濃厚でコクのあるものまで、数多くのタイプが造られているため、食前酒にはもちろん、魚から肉料理、デザートまで、あらゆる料理に合う、といわれています。

 オーストラリアのスパークリング・ワインは、シャンパンほどのタイプはありませんが、一般にフルーティでややソフトな辛口タイプのものが多く、食前酒にもちいるか、魚や鳥料理、クリーム・ソースを使った子牛の肉料理に合わせるとよいでしょう。

 シャンパンやスパークリング・ワインのラベルにBRUTと表示のあるのは辛口を意味し、高価になるほど味が濃厚で辛口が多くなる傾向があります。
 


木村靖

*筆者の木村靖さんは、オーストラリアの大学でブドウ栽培学とワイン醸造学を学ばれました。
  1993年より「ユーカリ」に「木村靖のワイン講座」を執筆していただき、この記事は1994年12月号を再掲載しています。
*この記事の無断転載・借用を禁じます。

 

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