MELBOURNE Street by Street (23) La Trobe Street ― その 4 ― ケン・オハラ La Trobe Street を歩いてきて Swanston Street を横切ると、右側に州立図書館、左側にRMIT University の、二つの大きな教育機関がある。 ケン・オハラは古風で頑固な散策者で、彼は最新技術に疑い深いまなざしを向ける傾向がある。モダン建築や新電気製品、ハンド・ドライヤーにいたるまで同様である。 1913年に建設された州立図書館は、建築物としても有名である。正面のコンクリートドームは当時、世界最大を誇るものであった。現在ではこの図書館の多くの部分が、歴史的重要建築物に指定されている。 ケン・オハラのこの州立図書館に関する思い出は、20年前、図書館のトイレにペーパータオルの代わりに温風ハンド・ドライヤーが設置された時にさかのぼる。このハンド・ドライヤーには使用法が書かれていた。 RMIT は校舎の建築でしられている。見れば見るほど、なるほどと思わせられる。 この一画はほとんどを RMIT の建物が占めている。過去120年、それぞれの時代の建築様式を取り入れて建てられた校舎が、混然と建っている。 Swanston Street の東側、La Trobe Street の北には、1887年に建てられた Storey Hall がある。これは1995年に修復され、新しい入り口が建てられた。この紫と緑色の入り口は、メルボルンいやオーストラリアでも最も驚異的な建築物といえるだろう。好き嫌いは別として一見の価値はある。 そこから少し北に行くと New Union House がある。装飾がほどこされた正面は、沢山の建築賞を受賞した。それに対してあなたがどう思うか、確かめたかったら Swanston Street を A'Beckett Street の角まで歩いていくと、丁度良い角度から眺めることができる。 そこから Franklin Street に向かうと、ケン・オハラの意見では、メルボルンで最も醜い四角いコンクリートの塊のような校舎の集合が見える。しかし、RMIT の敷地の中に入って La Trobe Street に向かって歩いて行く途中に、巧みに修復された魅力的な古い建築物がいくつか見られる。 さて、La Trobe Street に戻り Russell Street に向かうと、二つのオーストラリア名物の名が浮かんでくる。どの国にも二つ以上の名物があるものだが、その一つが馬、というのはオーストラリアくらいではなかろうか。 La Trobe Street から Russell Street を北に曲がると、西側に Ned Kelly が絞首刑にされた Old Melbourne Gaol がある。 Ned Kelly は権力に反抗した無法者として、オーストラリアではヒーロー扱いにされている。最後に警官隊の銃弾を浴びて捕まった時、身につけていた手作りの鎧は特に有名で、その鎧姿はよく絵などにも描かれている。 競馬馬の Phar Lap はVictorian Museum で、その雄姿に会うことができる。オーストラリア人の多くは、 Phar Lap が競馬史上最高の競馬馬だったと信じている。ニュージランド産だったが、生涯のほとんどをオーストラリアですごした。その間、37のレースに優勝。1930年のメルボルンカップでは、62.6kg のハンディキャップを背負い優勝した。 その後 Phar Lap はアメリカのレースに出る為に渡米した。そこで1レースに優勝した後、不可解な死を遂げた。彼は薬殺されたのではないか、という意見が多かったが、いずれも実証不可能であった。この事件により、オーストラリアではアンチアメリカのムードが盛り上がったほどである。
|