Yukari Shuppan
オーストラリア文化一般情報

2002年~2008年にユーカリのウェブサイトに掲載された記事を項目別に収録。
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MELBOURNE Street by Street (2)

La Trobe  Street   ―  その 5  ―    

ケン・オハラ 

ここのところLa Trobe Street 沿いに歩いてきて、今月でメルボルンの中央ビジネス街の北東の角まで来た。

ここで 東に向かってRussell Street を渡ると、左側に古い the police headquarters の建物が見える。右側は14階建てのオフィスビルだ。

このポリスの建物には長い歴史があって、Russell Street と Mackenzie Street の角にある古い2階建ての建物は、19世紀に建てられたものだ。高いラジオアンテナのある 建物は、建設された1940年代の当時、メルボルンの主要なランドマークの一つだった。

ポリスは(正確には Victorian Government )は、1992年にこの不動産を$4.7million で売却した。ビクトリア州の納税者にとっては、割りの悪い取引であったが、4年後の1996年に$6million で転売した台湾の投資家にとっては、幸運な取引であった。

しかし、さらに2年後の1998年にここを$10.5million で売却した中国系グループほどは、幸運でなかったといえる。 

この建物は現在では Concept Blue と呼ばれるアパートメントに改造されている。

ここでちょっと、航空会社の Virgin Blue を例にとって、オーストラリア英語の色について説明しておこう。

オーストラリアでは赤毛の人を、なぜか Blue 又は Bluey と呼ぶ。そこで the Virgin group の創設者 Richard Branson は、オーストラリアで飛ぶ彼の会社の飛行機は、機体を赤にして名前を  Blue としたのである。

しかし、police のビルだった the Concept Blue には別の理由がある。オーストラリアでは、ポリスは "the boys in blue" と呼ばれ、青色で象徴されている。名前のインスピレーションは、そこから得たのであろう。

話はそれるが、車のフェラーリは赤が多い。黄色いフェラーリを持つには、青い青年たち(ポリス)の許可がいるだろうか。

Concept Blue から 道を横切ると、Russell Street と La Trobe Street の南東の角に、1991年に建てられた、トップ2フローアがペントハウスになっているオフィスビルがある。

ペントハウスはこれを建てたディベロッパーのものだ。ディベロッパーの一人に、黄色いフェラーリを持つ若者がいる。彼はこのフェラーリをいつも自分のそばに置いて眺めていたいばかりに、黄色いフェラーリをクレーンで12階の彼のラウンジに引き上げさせた。

今月は色に関係のある話を始めたついでに、緑色にもふれておこう。

市内のこの辺りには多くの人が住んでいる。 La Trobe Street、 Russell Street 、 Exhibition Street の間のこの辺りの建物はオフィスビルからアパートメントに改造さたものが多い。

La Trobe Street と Spring Street の角には新しいビルが立ち、そこには400戸のアパートメントがある。

この場所には、約30年間、オーストラリア政府のビルが建っていた。移民局が建物の大半を占めていた。メルボルンでパスポートやビザが必要な場合は、ここに来た。

建物は15階で壁は緑色のタイルで覆われていた。建物の形からいっても、タイルの緑の色具合からいっても、それは男子の小便用のトイレを連想させた。メルボルンの人たちはこのビルを "the green latrine”(兵舎や工場などにある男子の小便用トイレ)" と呼んでいた。

オーストラリア政府は the green latrine を1988年に$35million で売却した。

購入者は後に Crown Casino を建てた Hudson Conway であった。

Hudson Conway はこのギャンブルでは大損をした。当時の不動産ブームは終わりを告げていた。Hudson Conway は 1995年にthe green latrine を、メルボルン市内のアパートメント建設では最大規模の Central Equity に$10million で売却した。

 The green latrine ではオーストラリアの納税者が得をし、 the police headquarters ではビクトリア州の納税者が損をしたことになる。ケンオハラはオーストラリアとビクトリア州政府の両方に税金を払っている。だから、彼は緑では黒字で、青では赤字だということになる。 


copyright: Ken O'Hara
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