ワイン入門(29) 木村靖のワイン講座
ワインの保存(2)
1.ワインは横に寝かせ、コルクがワインと常にふれた状態にする。コルクが乾燥するとボトルとコルクの間に隙間が生じ、ワインの急速酸化、劣化の原因となる。シェリー、ポート(ヴィンテージ・ポートを除く)などの酒精強化ワインは、高いアルコール分が酸化を防止するので、ボトルは立たせて保存する。
2.ワインセラーの施設がない家では、南向き(北半球の場合は北向き)の夏でも涼しい部屋を選び、キッチンなど温度の変化がある場所は避けるようにする。ワインの成分を壊す原因となる直射日光は必ず避け、ダンボールや木箱などに入れて暗い場所で保存する。階段の下、押入れ、タンスなどで保存するのも良い。
3.保存温度は10~14度が最適(恒温11度が理想)といわれ、この範囲を多少超える場合、極端な温度の変化がないよう一定の温度を保つことが大切である。古い毛布でカバーするのも一つの方法。日本の夏のような高温多湿な環境の場合、厚めの新聞紙でワインを包み、ダンボールか発泡スチロールの箱に保存すると良い。低温度は逆に熟成を遅くする。
4.コルクを乾燥させないため、適度な湿り気も必要であるが、湿度が70~75%を越えるとカビが発生しやすくなり、ラベルを破損する原因となるので注意。古くなったワインのコルク上にカビがつくこともあるが、このカビは害がなく、コルクを抜いた後に瓶の口についたカビを拭き取ればよい。
5.保存している場所に異臭があれば換気を行い、極端な温度の変化と外部からの強いショックをワインに与えないように注意する。この時、ワインを包んだ新聞紙も新しいものに交換する。
6.ワインを振動のある状態で長時間移動(車など)すると、香味のバランスを一度崩すことがあり、ワインを2~3週間くらい静かに休ませ、香味のバランスを戻してから飲むようにするとよい。
木村靖
*筆者の木村靖さんは、オーストラリアの大学でブドウ栽培学とワイン醸造学を学ばれました。
1993年より「ユーカリ」に「木村靖のワイン講座」を執筆していただきました。この記事は1995年に掲載したものを再掲載しています。
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