ワイン入門(31) 木村靖のワイン講座
ワインの3要素(2)
色合い、香り、味わい
食卓でワインを見る方法
(1)色合い(Colour)
方法:注がれたワインの色合いを見る。
グラスの柄の部分を持ちグラスを少し傾けて、グラスの上からワインの輝きと色の深さを見る。白いテーブルクロスやナプキンなどを下に当てると色合いがよく見える。ワインの色合いの意味を理解すると、ワインのスタイルやタイプと予想でき、ワインの健康診断もできるようになる。
*白ワイン
白ワインは、瓶熟成が進むにつれて黄色の度合いが強くなる。緑色を帯びている白ワインは若さと新鮮さ、黄色は酸化が進み瓶熟成しているもの、アルコールどの高いもの。オレンジ色は長期熟成、過熟した葡萄から造られた甘口を意味する。瓶熟成のピークが過ぎて酸化がかなり進むとワインは茶色を帯び、白いにごりは劣化を意味する。シャン・パンやスパークリング・ワインは、炭酸ガスの泡が勢いよく立ち上がり、泡がワインの中に長く残るものが良質といわれる。
*赤ワイン
紫色を帯びている赤ワインは、若さと新鮮さを意味し、熟成が進むと紫色は次第に消えていく。ワインの酸化が更に進んで長期の瓶熟成をすると、赤色は茶色に変化していく。赤ワインの色が濃くなると、香味のコクも深くなり、渋味も強くなるのが通常である。
(2)香り(Nose)
方法:テーブルの上でグラスを2~3回軽く回し、ワインの香りを立足せてからワインの香りを嗅ぐ。香りをつかめなかった時は、ワインからしばらく離れ、少し時間をおいてから香りを嗅ぐ。開栓直後のワインは、香りが閉じていることが多く、特に長期瓶熟成したものは、ワイン本来の香りが開くまでに多少の時間がかかる。酢のような鼻を突く臭いやカビのような臭いを感じるときは、少し時間をおく。異臭が抜けない時は、ワインが酸化していることがある。良質なワインは心地よい香りがグラスの中に長く残る。
(3)味わい(Palate)
味覚には、次の5つがある。
1)甘味(舌の先と上部で感じる)
2)酸味(舌の上部側面で感じる)
3)渋味(口内の上部と側部で感じる)
4)苦味(舌の奥部から喉上部で感じる)
5)塩分(舌の側部で感じる)
ワインの味は、主に1)から4)の成分とアルコールで構成されている。
方法:まず、少量のワインを口に含み、ワインを口内全体に転がすようにして味覚の準備をする。次に、ワインの香りを嗅ぎ飲む。ワインの後味に集中して1)から4)の強弱、余韻の長さを感じとる。味わいの良いワインは、全体1)~4)の組み合わせのつりあいが良い。酸味や渋味だけが優先するワインは、瓶熟成で味をまろやかにさせるとよい。酢のような鋭い酸味を強く感じ、酸っぱい臭いがするワインは酸化していることがある。
木村靖
*筆者の木村靖さんは、オーストラリアの大学でブドウ栽培学とワイン醸造学を学ばれました。
1993年より「ユーカリ」に「木村靖のワイン講座」を執筆していただきました。この記事は1995年に掲載したものを再掲載しています。
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