MELBOURNE Street by Street (31) Flinders Street ― その 6 ― ケン・オハラ Flinders Street 沿いに歩いて行くと、時の移り変わりをことさら感じずにはいられない。一つ一つの建物が時の流れを物語っている。 Elizabeth Street を渡ると、Hosies ビルディングがある。1950年代、このビルが建設された当時は、時代の流行の先端をいく建物だった。(いまだに1950年代の代表的な建築物とみなされている。) しかし、時は移り、1987年にはオフィスビルに改造された。 さらに1990年代になると、オフィスビルはホテルとアパートメントに改造された。しかしこの建物はもうホテルに改造しなおされることはないだろう。なぜなら オフィスに改造された当時、各階ごとに異なるオーナーが購入したからである。 Flinders Street の次の建物は 1905年に建設された the Tompsitt である。Rocke Tompsitt は少しばかり知られた名前である。Rocke Tompsitt は薬局のチェーンストアを経営し、会社はメルボルンの株式市場にも上場され、70年間このビルディングのオーナーであった。時は移り、1976年、Rocke Tompsitt はビルを手放し、1978年にシドニーの薬局グループが買収した。 次の建物はビクトリア大学のシティキャンパスである。 ここは1980年代の不動産ブームの最後の方で、 Adams Parking グループによって開発に着手された。 時は移り、1991年に完成した時には、不動産ブームは終わっていた。Adams は倒産した。1993年、メルボルンの商業用不動産は下落し、大学がシティキャンパスとして購入できるほど安くなっていたのである。ビクトリア大学は、建設費が$100ミリオン以上かかったこの建物を$16ミリオンで入手した。時は移り、現在、この建物はその何倍もの値打ちがある。 次は Duxton Hotel である。ここは二つのビルから成っていて、いづれも1913年に建てられた。一方はthe Commercial Travellers Association のために建てられ、1976年まで使われていた。時は移り、現在では旅をして物を売り歩くセールスマンはあまりいない。CTAは去り、20年間建物は空き屋になっていた。二つのビルディングは、完全に改造され、1997年と1998年にホテルに衣替えした。 隣りは旧 Reid House である。同じく1913年に建設され、幾十年もの間、しゃれたオフィスビルとして知られていた。後部は Flinders Lane につながっていた。時は移り1986年ビルの中間部は取り壊され、駐車場に改築された。Flinders 側はオフィスビルに改造された。しかし時はまた移り、地上1階を除き、上部は駐車場になってしまった。 次は 342-348 Flinders Street。1956年にオフィスビルとして建設された。現在もオフィスビルとして使われているが、1962年に5階から11階に建て増しが行われた。 次に Bond Street を横切り、 Flinders Street と Queen Street との角にある不動産。ここも時に連れ、ずいぶんと変化した。 100年以上 the Fox and Hounds Hotel が建っていたが、2000年に取り壊された。ディベロッパーは、ここにアパートメントを建設する計画であったが、アパートメントの前売りが十分にできなかった。不動産は、同じ計画を持つ別のディベロッパーに買収された。しかしこのディベロッパーも十分な前売りができず、2003年に再び別のディベロッパーに買収された。 時は移り変わり、ディベロッパーがビルディングをディベロップできなくなったようだ。おかげでケン・オハラは the Fox and Hounds でビールを飲むこともできない。
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