ワイン入門(35) 木村靖のワイン講座
ワインとチーズの相性(2)
ワインとチーズをあわせるには、ワインと料理の相性と同じようにワインの味がチーズの味に、チーズの味がワインの味に勝ちすぎないようにすることが基本である。相性がよいと、チーズを食べてワインを味わった後に、さっぱりと味がマッチする。チーズやワインの味がなくなったり、嫌な後味が残るのは相性がよくないとされる。したがって、風味が強いチーズ(熟したチェダーやブルー等)には香味が濃厚な赤ワイン。マイルドなチーズ(エダム、ゴーダー等)には、やや軽い赤ワインか濃くのある白ワイン。クルーミーなチーズ(カマンベール、ブリー、コッテージ等)にはフルーティーでやや甘口の白か貴腐ワイン。ドライフルーツが入った甘いチーズには、甘口の貴腐ワインや酒精強化ワインという合わせ方を基本にするとよい。
チーズは食前から食後まで、常に食卓に出る食物である。食後のチーズを選ぶには、メインの料理と飲んだワインのタイプにあわせるとよい。ビーフなどの肉料理に濃くのある赤ワインを飲んだときは、風味が強いチーズ。チキン料理にやや軽い赤ワインか濃くのある白ワインの場合には、風味がやや強いチーズ。魚料理にソフトな白ワインには、マイルドなチーズというように選ぶことを薦める。また、食後に何種類かのチーズが出た場合は、普通マイルドなものから順に食べるが、各種のチーズとワインを食べ合わせてみることで、そのワインに合うチーズをみつけるのも、ワインの楽しみ方の一つである。
木村靖
*筆者の木村靖さんは、オーストラリアの大学でブドウ栽培学とワイン醸造学を学ばれました。
1993年より「ユーカリ」に「木村靖のワイン講座」を執筆していただきました。この記事は1995年に掲載したものを再掲載しています。
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