シドニーからブリスベンに無線回線を建設する仕事がありました。これはソリッド・ステーツというトランジスターを使ったシステムで安定して長持ちするんです。それは日本が初めて開発したのですが、それを使ってやりました。しかし、これは工場ができる前に
NEC がやった仕事で、非常に評判が良かったのです。それが NEC
がオーストラリアに進出したきっかけですね。ところが工場ができてからは、もうそれは当分要らない、ということなんですよ。そんな大工事はめったにあるわけではないですから。しかし工場を建てたので、そこに関わっている30人ほどの人たちが食べていかなくてはならないわけですからね。ブレッド・アンド・バターになる基本製品は何だろう、何を作ったらいいんだろう、って当時はしょっちゅうそういう議論ばかりしていました。