MELBOURNE Street by Street (43) William Street ― その 2 ― ケン・オハラ オーストラリアの1ドルコインの厚さは2.5mmである。100 million dollars をコインの厚さにすると250kmの高さになる。横に並べると2,500kmの長さになる。(1ドルコインの直径は25mm。) しかし、シティの大きな所有地に並べると、それほど広範囲をカバーするわけではない。 William Street を歩いて Bourke Street まで来た。 ここは2年半前、このコラムで、不動産投資の二大損失として例に取り上げたところである。 そのうちの一つ、William Street の西側の BourkeStreet とLittle Bourke Street の間の一画。 ここの一画には幾つかのビルが集合しており、空き地もある。 オーストラリアで最大の不動産開発会社Lend LeaseCorporationは、10年前に$100,000,000以上を投資してこの一画を買収した。しかし、その後、借りてが少ないためわずかな賃貸収入しかなく、その上holding cost(利息、管理費など諸々の経費)に何ミリオンもの支払いをよぎなく続けていた。 2年半前にケン・オハラがこの不動産について書いてから、この物件は $20,000,000で売却された。購入者はDavid Marriner と建設労働者のためのsuperannuation schemeとのジョイントベンチャーである。 Lend Lease のこの一画での損失は$100,000,000以上になる。 │ この一画は約5,700 平方メートルである。 もし1平方メートルを1ドルコインで敷き詰めるとすると、$1,600かかる。この土地に100ミリオンをコインでつぎ込むとしたら、土地の表面全体を1ドルコインで11枚ずつ重ねることとなる。 さて、道路の角を横切って483~501 Bouke Streetに移ろう。ここは、かつてのNational Mutual Life Assuranceが $114,000,000支払った所である。6,660平方メートルのこの土地のほとんどがずっと空き地となっていた。 │ 二年半前、ケンオ・ハラがここのコラムに書いてから、National Mutual は、AXA(フランスの会社名)Australiaと名前が変わった。その後この土地は、$20,000,000で売却された。購入者はRoyal AutomobileClub of Victoria, the RACVである。 National Mutual もここで $100,000,000以上の損失を出した。前例のごとく、1ドルコインで計ると、9枚重ねということになる。 しかしながら、National Mutualは、すべての不動産この一画から少し戻って、Little Collins Street を横切開発事業に失敗したわけではない。りBank Placeに行くと、風格のある幾つかの古いビルディングが見られる。Metro Inn Apartments Hotelがそのひとつで、約100年前の1906年(日露戦争が終わってポーツマス条約が結ばれた翌年)に建設された。 これなどは、National Mutual が不動産開発に成功した例の一つである。ここはメルボルン市内で最も品格のあるアパートメントブロックの一つであった。長い間オフィスとして使われてきたが、つい最近ホテル(パブ)に改造された。 Bank Place にはその他に、12~16 the Savage Club, 2~10 Charter House, 5~9 Mitre Tavern などの古い歴史的な建物がある。The Mitre Tavern の建物の一部は1837に建てられたものである。そして1868年以来ビールが売られている。 ケン・オハラはいつか、このあたりの観光ガイドツアーに加わりたいと思っている。 ガイドがここで「メルボルンで一番古いホテルの前を通過します」といったら、すかさず「なぜ、通過してしまうのですか。中に入りましょう」と言うつもりなのである。 さて、the National Mutualだが、決して不動産開発をあきらめたわけではない。Bank Place を通り抜けてCollins Street に出ると、向かいに the National Mutual headquarters (現在は AXA Australia)が見える。 ここも the National Mutual の不動産開発の成功例の一つである。1965年に完成。1983年に22階から27階に増築。現在AXAは、このビルの前部のオープンプラザに鉄筋7階レベルの鉄骨を組み、その上に36階のオフィスビルを建てる計画である。 Copyright: Ken O'Hara
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