MELBOURNE Street by Street (47) Queen Street ― その 2 ― ケン・オハラ 355年前のこと。あるイギリス人が5ポンド出して1冊の本を買った。5年前、彼の子孫はその本を5ミリオンポンドで売却した。本も素晴らしい投資の対象になる、と新聞は書いた。しかし、これは年間利回り4%にしかなっていない。 メルボルンの Queen Street の東側の、Little Bourke Street を渡ったあたりを歩いていると、もっと割りのいい投資の対象をみることができる。 203-205 Queen Street に、1階が商店の古い2階建てビルがある。1957年に賢明な投資家が$50,000 (オーストラリアでは1966年に十進法が導入されたので、当時の額では25,000 ポンドであった。)で購入した。 このビルは1987年に$1,750,000 で売却された。30年間の利回りは12,6%である。 350年前に、イギリスで買われた本を12,6%の利回りで計算すると、現在の値段は$5,460,000,000,000,000,000 ポンドとなる。こんな金額をどのように使えばいいか、気が遠くなるような話である。 ともあれ、本は危険な投資でないことは確かだ。 203-205 Queen Street に話を戻そう。このビルは1980年代の不動産ブームのピーク、1988年に $1,825,000 で売買された。購入者は12年間所有して、2000年に $1,470,000 で売却した。損失である。 しかし不動産はそのタイミングさえ良ければ、素晴らしい投資であることは疑いない。 ほんの少し先に行った所の 215 Queen Street。この小さなビルは1987年に $700,000 で売買された。 そして1989年に $1,350,000 で売却された。 2年間の年利率は39%である。1989年は1980年代当時の不動産ブームのピークであった。不動産の価値は購入後に急激に下がったが、次の30年以内にはまたあがることだろう。 投資は、やはり本よりは不動産の方が良さそうだ。30年後はまだ生きているかもしれないが、350年も後のことなど想像もできない。それに本は、貸して賃貸料をとることもできない。 copyright Ken O'hara
|