MELBOURNE Street by Street (56) Swanston Street ケン・オハラ 今から約50年ほど前に、ヨーロッパから大勢の移民がオーストラリアにやってきた。彼らのほとんどはイギリス、イタリア、ギリシャからの移民だった。 その後、彼らがどのようにこの国に定着したか、オーストラリア人に訊いてみると、次のような答えが返ってくるはずだ。イギリス人はさまざまな分野に散っていった。イタリア人は野菜と果物を扱う仕事に就いた。ギリシャ人はカフェとミルクバーの商売を始めた。 この返事は大体当たっている。21世紀の現在、ちょっと時代遅れなオーストラリアスタイルのカフェで、メニューにステーキとエッグ、フィッシュ・アンド・チップス、ソーセージにマッシュポテトなどがある場合、それはたいがいギリシャ人の家族経営の店だ。 Swanston Street にあるカフェ、レストランは、ギリシャ系オーストラリア人の家族経営の店が多いのはそのためだ。 メルボルンを散策しながら Swanston Street と Flinders Street の角にくると、この都市の新と旧、罪と聖の相対する顔が見える。 古い Flinders Street Station は新しい Federation Square に向かい合っている。 罪深い Young and Jackson's Hotel は聖なる St Paul' Cathedral に向かい合っている。 まあ、こんなことは誰でも知っていることだが。さて、 Yong and Jackson's Hotel の隣にあるのは、マクドナルドのハンバーガーの店だ。 ケン・オハラが少年だった頃、ここは古い典型的なカフェだった。 ギリシャ人のカフェ店主 Christopher Peppas は、 この建物を1951年に購入した。彼は1979年に他界した。その後、店は1984年に$3,200,000 でマクドナルドに売却された。 マクドナルドの隣は土産店。 Christopher Peppas に関係のある会社が、1968年に$260,000 で購入した。Peppas 一家は、ここでリカー・ショップを長年経営した。その後、この一家は1981年にこの不動産を他のギリシャ人一家に$2,700,000で売却した。 Swanston Street を歩いていくと、ギリシャ人の経営する古きよき時代のオーストラリア式レストランがまだ残っている。 しかしその前に、ハンバーガーの威力を証明するものを見てみよう。 土産店の隣は Hungry Jack's バーガーショップ。この建物はANZ銀行が長い間オーナーだった。しかし現在、ANZ銀行はここに自動振り出し機しか置いていない。建物は2001年に$5,000,000でANZ銀行が売却した。 隣は Commonwealth 銀行支店。銀行はこの建物を1959年に$480,000で購入した。そして1998年に$5,100,000で中国系オーストラリア人の会社に売却した。 ここでもハンバーガーの威力は銀行をしのいだことになるだろう。$5,000,000に値するビルを借りて商売をなりたたせるためには、いったいハンバーガーをいくつ売らねばならないだろう。想像するだけでも頭が痛くなりそうだ。 隣の Flinders Lane の角にあるのはNicholas Building。1920年に Nicholas 一族によって建てられた。Nicholas は、 頭痛薬 Aspro の開発によって、オーストラアでも有数な富豪の一家となった。
Copyright: Ken O'Hara |