MELBOURNE Street by Street (58) 最終回 Swanston Street 3 ケン・オハラ これまでメルボルンの街並みをずっと歩いて来た。最終回となる今回は Swanston Street を北に向かって歩きながら彫刻を観賞するとしよう。 Flinders Street との角にあるのは、有名な探険家 Matthew Flinders の銅像である。 全ての野外の彫刻は、ケン・オハラが大好きな箱根の彫刻の森を思い起させる。 ケン・オハラが思うに、Swanston Street にある彫刻で一番いいのは、Little Collins Street との北東の角にある牧川明生(マキガワアキオ)の作品であろう。制作者の 名前がどこにも記されていないのは残念なことだ。 Swanston Street と La Trobe Street との角に州立図書館がある。ケン・オハラは、この図書館の前の歩道にある沈没していく図書館の彫刻が気に入っている。この彫刻を見下ろしていると、あの有名な1959年に封切られた映画「渚にて」を思い出す。グレゴリー・ペック、エバ・ガードナー、フレド・アステア、アンソニー・パーキンスが出演していた。 映画では原爆戦争が起こり、放射能で地球上の人類が死に絶えようとしている。最後に残ったのがメルボルンで、人類最後のシーンがここ州立図書館の正面の階段で撮影された。 1959年のメルボルンは静かなところであった。パブは6時で閉店だし、日曜日はどの店も閉じて閑散としていた。エバ・ガードナーは、「”渚にて”は世界の終わりの物語だが、メルボルンはその撮影にふさわしい地の果てのようなところ」と、言ったということである。 事実は、エバ・ガードナーがそう言ったわけではなく、記者の一人がでっちあげたものだが、これはメルボルンで2番目に有名なコメントとなった。 最も有名なのはJohn Batman によるもので、メルボルン市の創立となった "This will be the place for a village" である。 メルボルンは初期には、短期間だが Batmania と呼ばれていた。 Batman は、Batman Park、Batman Avenue 等々、彼にちなんで名付けられたたくさんの場所にその名を留めている。 Swanston Street と Collins Street の角にある彫刻 "Three businessmen who brought their own lunch" (by Alison Weaver and Paul Quinn) は、Batman と他の二人の有名なメルボルンの人 Charles Swanston とRobert Hoddle の3人を戯画的に表現したものである。 ケン・オハラは箱根の彫刻の森で一番素晴らしいのは、イタリアの芸術家 Arnaldo Pomodoro による "Sfera con sfera" だと思っている。 Swanston Street を歩いてヤラ川の橋を渡り、 the National Gallery に行くと、Pomodoro の彫刻 "The Pilgrim" がある。置かれている環境はずいぶん異なるが、まぎれもない Pomodoro の特徴が顕著な作品だ。 このギャラリーには牧川明生氏の作品もある。 しかし彫刻を見たいだけならギャラリーに行く必要もない。メルボルン市内の随所、Southbank 、 Docklands にも面白い彫刻がたくさん置かれている。 Swanston Street の彫刻で、ケン・オハラの メルボルン の道から道を歩くシリーズを終わる。もし次に書くとしたら、タイトルはメルボルンの彫刻ツアーとでもしてみようか。 Copyright: Ken O'Hara |