オーストラリアの花々 (72)
シャクナゲ
Rhododendron
シャクナゲの原産地は主に中国奥地からヒマラヤ。スコットランド人のジョージ・フォレストは1904年より28年間中国雲南省で植物採集にあたり、約5000本のシャクナゲを本国に送り、送られたシャクナゲは欧米で競って交配、改良されて豪華なシャクナゲとなって世界各地に広がり、その数900種以上にのぼるとのことです。イギリスには1915年にはシャクナゲ協会が誕生。ここメルボルンのダンデノン丘陵にもシャクナゲ園があり、約350種、15000本が、冬の終わりから春にかけて園いっぱいに咲き誇り、訪れる人たちを楽しませてくれます。
オーストラリア原産のシャクナゲは2種。その一つは学名Rhododendron
lochiae. 豪華な栽培種とは異なりますが、蝋を塗ったような鮮やかな赤のインパクトのある花です。Rhododendron
はギリシャ語で、rhodon はローズ、dendronは木で,
ローズツリーの意。Lochiaeは、オーストラリア園芸のサポーターで、ビクトリア州総督の奥さんであったLady
Locknにちなんで初めはlochaeとつけられ、後に綴りがlochiaeと訂正された由。
ツツジ科。常緑性低木。樹高1-3mぐらい。根元の方で枝分れしてこんもりと広がります。枝は若い時は褐色、長じてくると灰白色になります。花はベル形の5弁花。直径5cm、長さ7cmぐらいで色は濃い赤。茎の先の方に垂れ下がって5-6個咲きます。花期は夏。
葉は互生で長楕円形。巾3-4cm、長さ6-7cm。濃いグリーンの硬質です。
増殖は挿し木または種子より。もともと1000mぐらいの山に生息のため、半日陰の水はけのよい涼しいところを好みます。鉢ものに仕立てて、開花に合わせ、置き場所を移動させながら観賞するとよいでしょう。
蛇足ながら、「牧野植物図鑑」によると、和名に石楠花の文字を当てられていますが、これは漢名の石南花をシャクナゲに誤ってつけた名前で、本当の石南花は中国原産のバラ科の植物とのことです。
一葉式いけ花 ジャクソン増美
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