MELBOURNE Street by Street (40) King Street ― その 3 ― ケン・オハラ もしあなたが、1ドル札を50回倍倍にしていったら、その長さは月に達するほどになるであろう。もしあなたが1ドルを持っていて、それを50回倍倍にしていったら、それは現在地球にある金額よりも多くなるはずだ。
そして2004年にはその3倍に値上がりして、$970,000 で売られた。 こういう例をみると、やはり不動産投資は富豪への道ではないかもしれない、とケン・オハラは思う。むしろ肉屋の方がいい。King Street のこのあたりは、William Angliss と Victor Smorgon という2人の富豪の名前を思い起こさせる。 William Angliss は1884年にメルボルンで肉屋を開業し、50年後にはビクトリア州でおそらく1番といっていい富豪になっていた。 The Smorgons family も1950年に Carlton で肉屋を開業した。現在メルボルンで1,2を争う富豪の家族といえば、the Pratts と the Smorgons である。
このビルは2000年にふたたび $9,250,000 で売買され、アパートメントに改造された。 Smorgon family company は、角を曲がったところにある 628 Bourke Street の QBE House を開発した。ビルは1989年、丁度1980年代の不動産ブームが終わる頃に完成した。このビルの建設は費用が高くつきすぎた。土地代が$10,750,000。建設費が $55,000,000 かかった。The Smorgons の損失は莫大な金額となった。抵当権者が建物を引き取り、1996年にシンガポールの投資家が$35,000,000 で購入した。 このビルは2001年に $59,450,000 で再び売買された。The Smorgons はもう少し待つべきだったのだろう。
William Angliss は1957年に他界した。 The Angliss company はイギリスの the Vestey family 一族がオーナーとなったが、1980年までメルボルンには Angliss の冷蔵倉庫と肉屋があった。( 50 Bourke Street がそれだったが、現在はアパートメントブロックになっている。)しかし Angliss family の一人は 400 Collins Street のオフィスビルのオーナーである。 The Angliss という名前はオーストラリア人の記憶からは薄れつつあるが、 Smorgons の方は産業界ではまだ健在である。 Smorgons Steel は家族経営の会社としてはオーストラリアでは最大級である。しかし、現在の Smorgons family は、その資産を分散し、それぞれが独自の方向に行こうとしている。 Victor Smorgon は近年 Carlton に戻り、彼が最初に開店した肉屋を買い戻した。 ケン・オハラはソーセージ店でも始めてみようか、と考えている。 Copyright: Ken O'Hara
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