Yukari Shuppan
オーストラリア文化一般情報

2002年~2008年にユーカリのウェブサイトに掲載された記事を項目別に収録。
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MELBOURNE Street by Street (50)

Franklin Street & Little La Trobe Street   ―  その 4  ―    

ケン・オハラ 

先月はシティの CBD (Central Business District) にある住宅の話をした。今月はQueen Street の北の端まで来たところで、東に曲がり Franklin Street に入ってみよう。

Queen Street と Elizabeth に挟まれた南側の一画では、ケン・オハラに言わせると、メルボルンでの過去50年間の住宅不動産投資で最悪と最良の例をみることができる。

東に曲がってFranklin Street に入るとすぐに 142-146 の空き地がある。ここには小さな3軒の家が約100年の間建っていたが、1988年に$1,315,000 で売買された。

購入者は3軒の家を取り壊し、コマーシャルプロパティを建てるつもりであった。しかし市場は彼の思惑とは反対に動いた。

購入者はローンの支払いに行き詰まり、銀行が不動産を接収した。銀行は1991年にこの不動産を$157,000 で売却した。これは88%の価格下落である。しかし購入者にとっては100%の損失であり、プロジェクトに要した時間と労力を考えると、最悪の不動産投資ということになる。

では Elizabeth Street の南側を歩くとしよう。

Elizabeth Street のこのあたりは、オートバイの店が並んでいることと浸水で知られている。10年に1度くらいの割合で小さな洪水がある。

Elizabeth Street は昔からあった小川の川床に沿って作られている。10年に1度くらいの割合でメルボルンが豪雨に襲われると、この道路は小川に戻り、急流となってオートバイや車を押し流していく。

しかしまあ、今日の天気は上々だ。Eliazbeth Street を南に向かって進み、A'Beckett Street を過ぎ、Cosway オートバイ店の前に来て、ここで左に曲がり、Little La Trobe Street に入ってみよう。

オートバイの店の裏に、レンガの壁で半分隠れているが、しゃれたモダンな家が見える。この家は1994年に新築された。オーナーはこの土地を1992年に$257,000で購入している。

ここは何と便利な立地条件であることか。ここから Myer, David Jones, Victoria Market に歩いて行ける。証券取引所、州議事堂、メルボルンセントラル駅、メルボルン大学、Telstra Dome, Carlton Gardens, Fitzroy Gardens など、みんな歩いて行ける距離にある。

ケン・オハラは東京で、銀座、築地、日本橋、永田町、東京駅、本郷、両国、日比谷公園に歩いていける所に土地を買って、小さな家を建ててみたら、と夢想してみる。$257,000 でどのくらいの土地が買えるだろうか。

もちろんメルボルンと東京は大違い。東京駅で降りて八重洲通りを左に曲がっても、オートバイの店を見つけることはできないし、小さな丸屋根の住宅を見つけることなどありえない。

Copyright: Ken O'Hara
*この記事及び写真の無断転載、借用を禁じます。

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