Yukari Shuppan
オーストラリア文化一般情報

2002年~2008年にユーカリのウェブサイトに掲載された記事を項目別に収録。
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ワインに親しもう(2)
―――赤と白はどこがどう違うの?―――
前田晶子 
 
原料となるぶどうがまず違います。ぶどうには大きく分けて皮の色が濃いものと淡いものがあります。赤ワインは色の濃い赤紫色のぶどうから、白ワインは色のうすい薄緑色のぶどうから作られます。

ぶどう酒とは本来皮についている天然酵母の働きで、ぶどうの糖分が分解されてアルコ―ルに変わったものです。他の醸造物と同じように、初めは偶然に出来たものですが、今 では人が管理して細心の注意を払って作っています。ワイン作りの第一段階は、この糖分をアルコールに変える工程です。これを発酵と呼びます。
 
この時、赤は皮もいっしょに発酵させ、白は皮を取り除いて発酵させます。皮もいっし ょにつぶされて発酵に入る赤ワインは皮の赤い色と香り、そして赤ワインの特徴でもある渋味のタンニンがしっかりと果汁の中にしみ出して行きます。白ワインは実際にはぶどう の粒をつぶして1日皮といっしょにしておいてから、皮を取り除きます。
 
次の違いは発酵温度の違いです。赤は自然にまかせて発酵させるので、当然のことながら温度はだんだん上がって行きます。だいたい22度から25度ですが、時には30度まで上がる時もあり ます。一方白ワインはというと、温度管理をして5度から10度という低い温度を保って発酵させます。酸化を防ぎ香りと新鮮味を出すためです。


昔々は自然に皮についている天然酵母に頼ってアルコール発酵をさせていたわけですが、現在では安定した製品を作るために、種菌を植え付け発酵させます。種菌の酵母は20種類以上も市販 されています。各ワイナリーでは独自の配合があるそうです。皮もいっしょに発酵させる赤ワインでは、どうしても皮に付いて入ってきてしまう天然酵母が種菌をじゃましない様に工夫をして います。天然酵母の活性を押さえる薬品(二酸化硫黄)を加えます。赤を飲む時には、栓を抜いたらしばらく放置して、この二酸化硫黄を追い出してから飲む方がよいのです。白はこの必要はありません。
 
発酵の後は熟成に入ります。赤はオーク材等の樽で熟成させますが、白は主にステンレス製の樽で熟成させます。例外もあります。シャードネーのような高 級白ワインは樽で熟成させます。


熟成期間は赤は長め(長い時は2年)、白は短め(数ヶ月)です。赤は何年もかけて作られる物が多いので、数年前の瓶が店頭に並びます。今一番新しい赤 ワインは2000年物 です。白は早ければ収穫の年の暮れにはもう売り出されます。2001年物が最新の白ワインです。


一般的に赤は瓶で長期保存可能な物が多く、保存状態が良ければ(定冷温、暗所、静置の3条件が完璧ならば)10年20年と持つ物もあります。白は早めに飲んでしまうのが普通です。
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